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【レポート】「食品調味料のファンが生まれる場所スナップディッシュ創業者が語る、ファンマーケティングの今と未来」②

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【トークセッション】 「成熟した食品調味料市場で選ばれ続けるために、10年先も愛される生活者との関係構築の秘訣とは?」

図1

①10年先、スナップディッシュが生活者・食品メーカーさんに提供できる価値をどう見ますか?

ヴァズ・阿部(以下、阿):後半は、セミナーにお申し込みいただいた皆様からいただいたご質問や、私達が皆さんと一緒に考えてみたいことをもとに、いくつかトークテーマを設けました。

前半は、未来がどうなっていくのか、世の中の動きという観点から舟田よりお話しさせていただいたんですが、スナップディッシュというサービスが、今後どう変化していくのか、参加者の方からご質問いただきました。前半の議論を受けて、私達が今後どういう価値をご提供していくか、考えをお話しいただけますか?

ヴァズ・舟田(以下、舟):この10年インターネット業界では、サービスの運営側と利用者の間はものすごく近くなってきていると感じてます。以前とは違って、運営側と利用者が一緒になってサービスを作っていくのが当たり前になってきている。ツイッターなどどんなサービスでも同じで、成功するサービスのやり方に一定の法則ができたのがこの10年で起こったことかなと思ってます。

自社が提供するサービスを通じて、人と人との付き合いをするようになっている。一方的にいいサービスだから使ってくださいというのは以前は多かったんですが、それでは立ち行かなくなってきているのがインターネット業界のサービスの今の流れであるかなと。インターネットはたまたま変化が早い業界なので、先にそういうことが起きてますが、おそらくこの流れは、食品や自動車などいろんな業界でも同じように起きてくるんじゃないかと思います。

実際、最近はDXなどで、どんどん生産者と生活者の距離は近くなってますよね。目の前に生活者、消費者がいる状態がどんどんできている。そうなった時に、どうお付き合いをしていくのか、だと思うんですね。「こんにちは」とこっちから声をかけていくのか、あるいは、どうしたらいいかわからずと慌ててしまうか・・・これはもうすぐに対応を迫られる状況になるんじゃないかと思います。

阿:ニュース番組って前は見るだけでしたが、今は見てから例えばTwitterでそれについて議論するとか、コミュニケーションと組み合わさることで楽しみ方が変化している部分は今後も変わらないですよね。

舟:そうですね、インターネットの技術が進んで、リアルの世界でできていたことがインターネットでもできるようになってきている。それは違和感のないコミュニケーション、シームレスなリアルタイムのコミュニケーション。これがネットの世界でもどんどん進んでいくというのは変わらないし、ネットだけでなくあらゆる業界に影響してくることだと思います。

②ユーザーとのエピソードで、一番強烈に覚えていることは?どう活かせる?

舟:サービスを長く続けていると、ユーザーさんの人生にそれだけ長く寄り添うことになる。ユーザーさんの人生のイベントにご一緒することになって、そうなると、たまにですが残念ながらユーザーさんがお亡くなりになることもあるんですね。その時に印象的だったことがあって、亡くなったユーザーさんのアカウントを娘さんが引き継ぐということがありました。また、亡くなった方のアカウントをなくさないでほしいという要望も来ます。

一番強烈だったのは、亡くなった方のアカウントを娘さんが引き継ぐことで、それまでお母様がされてきた投稿や交流もそのまま受け継がれるんですよね。その時、料理は受け継がれていくものだと、このサービスをやっていてユーザーさんから感じることが多いですね。親から子へ受け継がれるのはなんとなくイメージが湧いてたんですが、それだけじゃなくて、人から人へちゃんと受け継がれていくというのをまざまざと見せられることがあって、その体験はとても強烈でしたね。

阿:私も何人か亡くなられたユーザーさんのアカウントを知ってるんですが、その方の最後の投稿には「◯◯ちゃんの料理作ったよ!」といった会話が何年も続いてたりしますもんね。私もユーザーさんとのエピソードを振り返ってみると、最初の頃にユーザーさんと直接会ってお話しする機会がある中で、当時「レシピ」と「料理」の区別がついていなかったんですが、ユーザーさんに「このレシピって」と会話した時に、「あ、レシピは無いんですけど・・・」とコメントをいただいたことがすごく印象に残ってます。手順としての「レシピ」と、個々の体験としての「料理」は別のものだと初めて意識したのはユーザーさんに教えてもらったというエピソードです。

③ユーザーのコミュニケーションで、ここ数年変化を感じることは?

舟:前提として、インターネットのコミュニケーションはどんどんリッチになってきている歴史があるんですね。最初はテキストから始まって次が写メ、スマホになってから写真や動画、ライブとか、コミュニケーションがリッチになっていく背景として、リアルな世界のコミュニケーションに近づくことを利用者から求められて来たということがあると思うんですね。単にリアルに近づくだけでなく、さらに便利になってほしい。いつでもどこでも、気軽に簡単にまで、リアルを超えるような体験をインターネットに求められてきたということがあると思います。

こういう変化の中で、最初にサービスの投稿する時に、InstagramやTwitterなどの他のSNSに同時投稿できる機能を提供していたんですね。ひとつの投稿でコミュニケーションをいっぺんにやりたいという要望があって。スナップディッシュに投稿すると同時にInstagramやFacebookに同時に投稿できるという機能があったんですね。これが結構使われていて、この機能をメインに使っている人もけっこういたんですが、その数がどんどん減っていって、今ではほとんど使われなくなっています。

なぜかと思ってユーザーさんに聞いてみたところ、SNSによって投稿を厳選しているという理由でした。例えば、Instagramは普及していくにつれて、子どもや親兄弟とか、会社の上司・同僚とつながっていって、必ずしも料理に関心がある人ばかりではなくなってきたんですね。そうなると、SNSごとにつながる先が違っていて、つながりごとに関連性のある投稿をしたいということで使い方が変化していたんですね。

話はちょっとそれるんですが、私はこれまで携帯の広告配信システムとか、アフィリエイト広告配信サービスを創ったり立ち上げたりしてきて、広告のことをインターネット業界で結構やってきたんですが、今はこの領域がけっこう大変だなと思っていて。利用者属性は同じ、例えば「東京都在住・女性・30代・主婦」だったとしても、利用しているサービスによって、例えば、TwitterやFacebookやインスタとかの中で、繋がりが全然違うんですね。一人何役もつながりごとに違う自分がいて、求められるコミュニケーション、情報や広告もつながりごとに違うんですね。最適な広告配信がとても難しくなってきているという風に感じています。

阿:私も最初の頃、メーカーさんとBtoBの事業で向き合っていて、特にコミュニケーションの企画の時に、「スナップディッシュで投稿してたらあちこちに拡散してくれる」という言葉が通じていた。「拡散」という言葉が割と普通に通じていた気がするんですが、ユーザーを見ていると、拡散をしたいというマインドがもはや、あまりないのかなという気がしています。

舟:やっぱり最適な場所に最適な共有をするというふうに、何でもかんでもひたすら共有すると、迷惑になってしまうんではないかという意識はあると思います。

阿:ユーザーがコミュニケーションの使い分けをするようになってきたというのが大きいと思うんですが、さらにこの1年2年の一番大きな変化でいうと、以前スナップディッシュのユーザーさん同士でオフ会とかやってたじゃないですか。そういうのが、最近は減ったというのもありますよね。

舟:そうですね、運営側は関与してなかったですけど、全国でユーザー同士集まってオフ会してましたよね、札幌支部とか関西支局とかいろいろ。今リアルでやるの難しくなってるのはあると思いますね。

阿:わかりました、大きな変化として、場を使い分けるというのと、リアルのコミュニケーションが減少してきているというところですね。

舟:そうですね。それが使い分けにより拍車をかけている一面もあると思います。

④オンラインでのイベントに取り組んだ背景とその評価は?

阿:2020年からユーザーさんとオンラインでつながるというイベントを始めていて、そこについて私からの質問になります。コロナ禍で世の中にオンラインイベントが普及する前の2019年くらいから「オンライン工場見学したい」「オンラインのイベントをしたい」と強く言っていたのをすごく覚えていて、結果的にコロナで社会環境が整って実現することになったんですが、なぜコロナ禍で制約が生まれる前からやりたいと言ってたのか、その背景と、実際に実現してどうだったかの評価について、お聞きしたいです。

図2

阿:これまでセミナーでも何度かご紹介してるんですが、知らない方もいらっしゃると思うので少しご紹介しますね。(>>イベントダイジェスト動画を見る)前回セミナーでご紹介した、オンラインでユーザーさんとつながるイベントの様子です。Zoomで調理したり、会話したり、その映像をYouTubeでもライブ配信してユーザーさんとコミュニケーションをとったり、終わった後も右のようにスナップディッシュの投稿でコミュニケーションしたりというイベントを2020~2021年でやってきました。

こういったことをやろうと言っていた背景とやってみての評価をお聞きできますでしょうか。

舟:2年くらい前から言ってましたね。そもそもあらゆるつながりはオンラインになるだろうな、と思ってましたし、求められる体験も豊かになっていく流れがそもそもあると思っていたので。「オンライン工場見学」のアイディアは、はじめはスタッフの発案なんですよね、最初に聞いた時に、手前味噌ではありますが、天才的なアイディアだなと思いました(笑)

その理由は、これまでの「オンライン工場見学」は、ホームページに掲載されたムービーを視聴するという体験が多かったんですよね。そうではなくて、オンラインでインタラクティブに、実際の商品や食材を手元に置きながら工場見学ができる。これは単なるライブではないんですよね、一方通行なライブビューイングみたいなものもあるんですが、それとは違っていて、オンラインの工場見学を双方向でやるというアイディアだったんですね。

これは、リアルな工場見学は最もリッチな体験としてあって、それはそれで良くて、ただムービーを視聴する工場見学との間を埋める体験というのがなかったんですね。このアイディアは、その間を埋めることができるんじゃないかなと。今、なんでもDXといいますが、これはDXの最たるものなんじゃないかなと感じたんですね。(当時は2年前なのでまだDXという言葉を使っている人も少なかったですが)

そもそも工場体験のいいところは、リアルにその場にいるということと、双方向でできるということですよね。この双方向というのは対面なんですよね、なので人と人とのお付き合いが出来るんですよね。さらにいいところは、自分が買ってる物、食べている物が単なる「モノ」じゃないんですよね、人の気持ちが詰まったものということを人を通じて知ることができるんですよね。作り手の心とか、考えとか、作り手の人となりまで知ることができる場所だと思っていて、商品やサービスを一生使い続けてもらう大きな理由になるんですよね。私達自身がユーザーさんとイベントをやっていたのも同じ理由なんですね。

これがオンラインになれば、現地に行けない人、海外にも体験できるわけですね。なので、この企画は天才的だなと聞いた瞬間に思いました。実際にクライアントさんと実践させていただいて、ユーザーさんの反応を見ると、自画自賛で恐縮なのですが素晴らしいなと思いました。今後、クライアントさんやユーザーさんのフィードバックを得ながら、見学した工場の商品が好きで好きで仕方なくなるような、さらにいい体験を磨き込んでいきたいと思いました。

阿:素晴らしいと思ったポイントは、開始前に考えていたのは作り手の気持ちと繋がれるということだったと思うんですが、実際のユーザーのコメントでどういったところが良かったというのはありますか?

舟:もちろん普段見られないところを見られたということもあるんですが、「人が作っているということを実感できた」というコメントがちゃんと出ていたので、一番コアな部分を楽しんでもらえたと思ってます。

阿:先ほどご紹介したチーズのイベントでも「フランスと実際につないで、向こうの方の食べ方を知れたのがすごくよかった」というユーザーさんのコメントが出ていましたもんね。ちなみに、工場見学の企画は司会の落井も担当者として参加してたんですが、ユーザーの反応で覚えてることありますか?

ヴァズ落井(以下、落):実際ライブでアーカイブで参加した人も、人から教えてもらった商品の楽しみ方、きれいに工場されていたり、丁寧に商品を育てているのが安心感として伝わっていたのが印象的でした。なかなか普通の企画ではここまでのことを伝えるのが難しいと思ってたんですが、こういう方法だとちゃんと伝わるんだというのが新しい気づきでした。

阿:アプリの標準機能だけでは伝えきれなかったことを伝えられたので、企画・運営はかなり大変なところもあったけどやっただけのことはちゃんと伝わるなという印象だよね。

落:そうですね、商品や売場だけでは作り手や作られる過程のことまで想像するって難しいので、実際に作り手さんとユーザーさんをお繋ぎできて良かったと思いました。

 

⑤食品メーカーさんと一緒に解きたい生活者課題

阿:オンラインの取り組みは2020年から新しく取り組んだことですが、そういったことも踏まえて、今後アプリで食卓の様子を共有して楽しんでいただくということと、新しい体験の形を組み合わせてサービス提供をしてるんですが、今後解いていきたい生活者の課題や、伝えたいことをお聞きできますか?

舟:ITは距離や時間を縮める力がものすごいので、このままDXが進んでいくと、企業とお客さんの距離がどんどん近くなっていく。そうなると、どういった価値をお客さんに提供できるのかがすごく大事になってくるんだろうなと思います。現に、インターネットの世界ではすでにそうなってます。サービスとか機能は簡単にコピーできるわけで、使ってもらった後にどういうふうにつながって、どうやって価値を提供していくのか、どうやって一緒にサービスを作っていくのかがすごく大事で、この戦いには終わり無いんですよね。

やっぱりお客さんやユーザーさんにとって関心があるのは、そのサービス、商品が自分にとってどんな価値を与えてくれるのかが重要で、その価値はつながりの中で決まっていく。もう一人ぼっちで価値が決まるようなものではないんですね。つながりの中でグッと感情が揺さぶられた時に好きという気持ちが生まれて、ユーザーさん同士のつながりの中でも感情の揺さぶりや好きになる瞬間というのがあって。SnapDishの中では、メーカーさんとユーザーさんのつながりの中でもそういうことが起きてるわけですよね。ユーザーさんを見ていると、その好きになるという体験が繰り返されることによって、それぞれの価値が定まっていっているのが見えるわけですね。

今は、食卓のつながりは家庭の中だけでなく、インターネットを通じてSnapDishに拡張されているし、SnapDishでは料理に関心のあるユーザーさん同士のつながりがどんどん広がっている。そのつながりがあるからこそ、ユーザーさんにとってのそれぞれの価値というのが日々生まれているわけですね。

その中には、運営も入ってますし、メーカーさんにも入っていただいている。そこで生まれた価値が共有されて、どんどん受け継がれていっているということが日々起凝っていることじゃんじゃないかと思います。

自社の宣伝にはなってしまいますが、食品に興味のあるお客さんと「こんにちは!」とつながりたい場合には、ぜひスナップディッシュユーザーさん達同士のつながりの間に入っていただいて、メーカーさんにもご参加いただければと思います。ユーザーさんもメーカーさんとのつながりを心待ちにしていますので。

 

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